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食事と栄養対策(5)-TMPRSS2を抗酸化物質でブロックする武漢肺炎(SARS-Cov2)

 Hoffmann M ,Pöhlmann S (2020) ,Cell. 2020 Mar 4. pii: S0092-8674(20)30229-4. 
 
SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor.
 
 ホフマン M、ポールマンSらのゲッチンゲン大・感染症ユニットは武漢肺炎(SARS-CoV-2)のヒト細胞への侵入はACE2TMPRSS2に依存し、プロテアーゼ阻害剤でブロックできると臨床的に証明した。
 
 ACE2の食事と栄養による予防と防御についてはすでに述べているので、ここではSARS-CoV-2がSタンパク質セリンプロテアーゼTMPRSS2の抗酸化物質、緑茶EGCGとスルフオラフアンSFNによるウイルス防御について取り上ます。
 
 
  まず、研究の進んでいるインフルエンザウイルスA(以下ウイルス)の気道細胞の恒常性がウイルス侵入による炎症をサイトカインIL6などの遺伝子を阻害することによって抑制し、酸化ストレスを緩和する。そのオーケストラはNrf2によって指揮されている。(Megan M.2015 、山本雅之2016)EGCGやSFNなどの抗酸化物質によってTMPRSS2を減少させ、ウイルス侵入を減少保護する可能性がある。
 
 呼吸上皮細胞のウイルス防御オーケストラは以下のように行われている
1) 物理的・機械的なバリアーで呼吸刺激から保護する。←VA,D3,VC
2) 呼吸器上皮細胞は病原体の吸入刺激と相互作用する受容体とリガンドを保護。
3) サイトカイン、ケモカイン、抗菌ペブチドを分泌して宿り主細胞を防御する。
 食事と栄養の防御説明
   1)2)←の粘膜強化防御にビタミンA700μg850μg,D3 5000IU,C 2000mg/日 3)ラクトフェリンたんぱく質(乳製品)不足特に高齢者ウイルス感染誘引する
3)酸化ストレスがプロテアーゼ/抗プロテアーゼバランスに影響しウイルス感染を
 確立する←栄養抗酸化物質(EGCG、SFN)によりNrf2活性化で気道細胞保護

 酸化ストレスとプロテアーゼ発現の関係はマウスインフルエンザウイルスA感染を増加させることが実証されている(Hennet 1995)。喫煙やオゾン、ディゼル酸化物微粒子、大気汚染などによる呼吸器細胞への酸化ストレスが肺の損傷や機能障害を引き起こすと考えられ、これは酸化ストレスと抗酸化の均衡に一部依存している。酸化ストレスは、活性酸素種(ROS)の生成と、反応性中間体を容易に解毒する身体の能力との間の不均衡によって起こされ。例として大気汚染の一つオゾンは、都市部の大気汚染気道炎症と呼吸器疾患の増加を引き起こす酸化ストレスの強力な誘導物質です。オゾンや大気汚染微粒子は2009年メキシコシティーで25万8,698人の感染を起こし9ヶ月1,370死亡が確認された。インフルエンザAのパンデミック発生に関連づけられています。さらに、気道や肺細胞の損傷に繋がる、喫煙も同様に酸化ストレスを引きおこします。私たちも2004年に比較しましたが、喫煙者は非喫煙者に比べてDNA損傷が高いのです(18RCT研究メタ分析)。

 オゾン(O3)とEGCGの実験ではオゾンに晒されると正常なヒト軌道上のSLPIは0.52と減少、TMPRSS2は2.35と上昇するが、EGCGを1μMol濃度でSLPは増加(2.1)、TMPRSS2は減少(0.51)した(Matthew J.K 2012)。 抗酸化剤は、呼吸器の酸化ストレスの抑制により、プロテアーゼ/抗プロテアーゼのバランスを修正し、ウイルス感染を抑制する治療法としても役立つ可能性がある。また、抗酸化物質は(EGCG)、Nrf2を誘導することでウイルスの複製を抑制できる。

抗酸化物質はさまざまな食品に含まれる、強力な宿主防御効果を発揮することが示されています。中でもフラボノイドは一般の食事に登場し、赤ワイン、緑茶、紅茶、リンゴ、ブドウ、チョコレート等に多く含まれています、これらは日常的摂取で使える濃度で、ウイルス感染からの予防と防御に使えます。


緑茶カテキン(エピガルカテキン-3-ガレート;EGCG)は、ウイルス感染の状況で広く研究されている。EGCGはCD4 T細胞受容体に結合し、HIVエンぺロープタンパク質gp120との相互作用を防ぐことが示されていますEGCGは生理学的用量でヒトT細胞とマクロファージのHIV感染を抑制できる。これらの効果のため、抗HIV治療薬としてのEGCGの使用は前臨床調査に入っています(Megan M.2015)。さらに、EGCGは強力な抗インフルエンザ特性を持っています。インフルエンザに感染したマウスにEGCGを経口投与すると、生存率が50%増加したことが示されている。抗酸化物質のEGCGがSLPI分泌を誘導し、TMPRSS2分泌を減少させ、インフルエンザの複製を減少させることが示されている。また、EGCGが標的上皮細胞へのインフルエンザの侵入をブロックしたことを報告されている(Kesic MJ 2011)。緑茶EGCGによる抗酸化剤の補充が、肺の病気と感染から保護するための魅力的な療法として役立つかもしれない。

 

抗酸化剤のSFN(スルフォラファン)がウイルス侵入に対してTMPRSS2を防御する。(図省略)

プロテアーゼ/抗プロテアーゼのバランスは、インフルエンザAウイルス(IAV)の感染を調節し、SFN補給によって調節されます。

1:標的宿主細胞への侵入のために、血球凝集素(HA)タンパク質はHA1とHA2タンパク質に切断される。

2:TMPRSS2(TM)などの呼吸セリンプロテアーゼは、HA活性化とIAV感染に関係している。SLPIなどの抗プロテアーゼはセリンプロテアーゼ活性を阻害し、IAV感染から保護する。

3:SFN補充は、SLPI分泌の増加、TMPRSS2分泌の減少、ウイルス侵入とIAV感染減少に使用できる。

まとめ

緑茶カテキンEGCGやブロッコリースルフォラフアンSFN等の抗酸化物質はNrf2遺伝子に働きかけて、呼吸プロテアーゼ/抗プロテアーゼのバランスを変更することができます。バランス変更することによってウイルス感染に対する感受性が決まります。武漢肺炎(SARS-Cov2)やインフルエンザウイルスAなどの感染を初期段階で防御し、ウイルス感染の予防と防御に副作用なく使うことができる可能性がある。

ウイルス感染の食事と栄養による1-2-3防御ライン (食事60%+補助食品40%)
   1)←の粘膜強化防御に抗感染ビタミンA,D3,C,B群、抗感染ミネラルSe、Zn
  女性推奨量 ビタミンA 700μgRE推奨(2333IU)
  男性推奨量 ビタミンA 850μgRE(2833IU),D3 5000IU,C 2000mg/日,B群
   2)←同上
   3)前半ラクトフェリン不足特に高齢者のウイルス感染を増加させる
   3)後半酸化ストレスによるがプロテアーゼ/抗プロテアーゼバランス悪化を栄養
    抗酸化物質緑茶EGCG、SFN増加によってウイルス感染を阻止する

 

 

ビタミンは食べないと病気になる物質です。(アルバート セントジョルジ1937ノーベル生理学医学賞受賞者)

    ビタミンAでIgA抗体が増加する (R. Rudraraju2014) VA,VD3不足でIgAが減少し抗体反応は低下する、VA,VD3の容量依存的に回復した(SL Surman 2016)

低たんぱく食(栄養不良)とビタミンA欠乏(不足)ではインフルエンザウイルスAのIgA (免疫グロブリンA)が著しく減少し、IgMやIgG応答が減少する(CB Stephensen 1993)。IgAはウイルスや細菌などの病原体の侵入を防ぐ粘膜免疫です。IgAが低下するとウイルスによる上気道粘膜に感染しやすくなります、なので、ビタミンAとD3を欠かさず毎日とることは感染症に対する免疫力を高めます(J. Rodrigo Mora 2010) 、それに、ビタミンCとB群(B6、ニコチン酸)を摂取して呼吸上皮細胞のウイルス防御1)2)を強化してください。ビタミンAは視力や上気道上皮粘液の完全性に不可欠です、ビタミンAは粘膜T細胞の移動を誘導し、感染症の体液性免疫に広範囲の調整をします。ビタミンAはCD4+T細胞、CD8+T細胞の腸管ホーミングに不可欠です(Zhiyi H.2018)。

抗酸化の高いORAC食、高たんぱく食とビタミンA 7500IU/日 、VD3 5000IU/日、ビタミンC 2000mg/日以上、摂取できているのでしょうか? 低タンパク食とビタミンA不足はウイルス感染症に罹るリスクを増やします・・

抗酸化の高い食事と栄養は健康を支援します。疾病の回復期には臨床栄養レベルの完璧な食事と栄養管理が必要です(参考4)

 

呼吸器上皮細胞の感染のウイルスには、コロナウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス等が含まれる。

関連 抗体とPCR検査

抗体
IgM ウイルス感染同時の早期に産出される、10日程度で消失
IgG IgMに遅れて出現する、徐々に減少しながら長期間持続
IgA IgMより遅れるて出現するがIgMより長期間検出できる。

新コロナウイルス(SRAS-Cov2)の検査キット開発ではIgMとIgGを同時に検査し、無症候感染と症候感染を10分〜15分で88%感度(397検体352の陽性判定)出てきている。(Bio Medomics Inc USA 、SD Bio Sensorなど)
日本感染症専門家会議は、4日たってから保健所にきてください。という、IgG抗体が検出できるまで待つ=検査リソースの少ないのをカバーすることと日本の感染者数は少ないとWHOに主張できる→東京オリンピック開催にはWHOの認可がいる。という政治的配慮の体制であることがわかる。クラスターと北海道の結果にしがみついているように見える。科学的姿勢に欠け、政治的配慮が優先が専門家会議のように見えました。

用  語

SLPI:正常なヒト気道表面に存在、セリンプロテアーゼから上皮細胞を保護する阻害剤

TMPRSS2:軌道上皮細胞におけるプロテアーゼによるウイルス活性化(SARS、インフルエンザ)

HAT:細胞膜貫通プロテアーゼ

Nrf2:

抗感染症ビタミン:ビタミンA、ビタミンD3 、ビタミン C、ビタミンB群

粘膜ミネラル:Fe、Zn

ORAC :  Oxygen Radical Absorption Capacity,Oxygen Radical Absorbance Capacity 活性酸素消去能を数値化したもの

 

参考文献

1)松 山 州 徳 (2011)ウイルス
国立感染症研究所  “プロテアーゼ依存的なコロナウイルス細胞侵入”

2)小林枝里、山本雅之 Nature Comm(2016) ”Nrf2転写因子による炎症抑制メカニズムを解明”  https://www.amed.go.jp/news/release_20160523-02.html

3) 川西秀徳 編  DASH食、地中海食・・”これからの健康長寿食のあり方とヘルシーレシピー” 2019  社会福祉法人市原寮 医師(京都市)

4) 佐藤和子 “外食の栄養 – 不足分の補い方” 1993 認定NPO法人「健康を育てる会 」医師(高崎市)。認定NPOでは個人の食事により健康管理の自立を助け、各人の食事記録の栄養分析を行ってます(有料5000円/1人)。

 

 

 

追加訂正      2020年 3月17日

追加訂正      2020年 3月13日

投稿        2020年 3月11日

 


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